以前、焼き芋焼酎のことを書きましたので、
焼き芋焼酎がどのように誕生したかも書いておきます。
焼き芋焼酎を最初につくったのは、鹿児島酒造の黒瀬安光総杜氏です。
芋は焼いて食べたほうが美味いというシンプルな発想をもとに誕生しました。
総杜氏にうかがったことがあります。
原料となる芋を焼いて製造するのですが、最も苦心したのは「香りと甘味のバランス」だったそうです。
焼き芋の香りを強く出すため、焼くときに焦げるくらいに焼かないと良い香りが出ません。
しかし、あまり焼き過ぎると焦げた香りがして良い焼酎になりません。
黒瀬安光総杜氏は10年余の年月をかけて納得できる焼芋焼酎をつくりあげたそうです。
鹿児島酒造の焼き芋焼酎づくりでは、1回に焼きあげる芋の量が80キロの窯・4台で、丹念に小一時間かけて石焼芋のように焼き上げて仕込むそうです。
火が弱すぎても香りが出ず、焼きすぎると焦げ臭がつくため、常に交代で火の番をし、その作業は24時間体制で休むことなく1カ月間続きます 。
こうして出来上がった焼き芋焼酎は、通常の芋焼酎に比べて雑味がなく、適度な甘さと芳醇な香りを味わうことが出来ます。
現在、鹿児島酒造だけでなく多くの蔵が原料芋を選んだり、蔵独自の工夫を加えたりして特色のある焼き芋焼酎をつくっています。