いっこしゅん
宮崎県日南市 古澤醸造
熟成酒の旨味やまろやかさを持ちながら芋感や全体の厚みも しっかりと残っているバランスの良い芋焼酎
●宮崎県日南市にある古澤醸造は、明治25年(1892年)創業の歴史のある蔵です。
この蔵の特徴は、 宮崎県唯一の土蔵造りの醸造蔵で焼酎をつくっていることです。
土蔵は、一年を通して温度変化が少なく、モロミの発酵・蒸留した焼酎の熟成などによい影響を与るため、
土蔵は焼酎造りにはふさわしい建物といえます。
「土蔵造り」と聞いただけではイメージが湧かなかったのですが、実際に訪ねて案内していただいて驚きました。
とても広くて大きな建物で、建物のなかで芋の処理から芋蒸し、麹造り、仕込み、蒸留、貯蔵・瓶詰め・・と製造
から出荷まで全ての工程が行われていました。
建物の中に蔵造りの麹室があり そこで麹蓋(こうじぶた)を使った麹づくりがおこなわれています。
外は暑いくらいの陽気でしたが、土蔵の中はヒンヤリと涼しいでした(訪ねたのは4月上旬)。
※もともと麹室や仕込み蔵、貯蔵蔵など建物が分かれていたそうですが、
雨が降っても大丈夫なように屋根をつけてつなげられたそうです。
蔵は海水浴場で知られる大堂津浜の近くにありますが蔵の裏手には大きな川(細田川)が流れています。
焼酎造りに使う水(仕込水・割り水)は地下から汲み上げているそうです。
醸造設備のある土蔵に隣接して飫肥杉で造られた原酒タンク貯蔵用の建物もありました。
※飫肥杉は油分が多く腐りにくいことと火にも強いことから船を造る弁甲材として、
また建築材として広く使われ、油津の港はその積出港として栄えたそうです。
5代目蔵主となる古澤昌子さんが杜氏としても活躍されておられます。
●「一壺春」は、厳選された黄金千貫芋を原料に、麹室(こうじむろ)の中でつくられた手造りの白麹を用い甕壷で仕込まれ、蒸留後 甕壺で貯蔵熟成された芋焼酎です。
3年間の間、甕壷で眠らせた熟成芋焼酎ですが この焼酎の真骨頂は、熟成酒特有の旨味やまろやかさを持ちながら芋感や全体の厚みも しっかりと残っていることです。
原料の味わいが特にしっかりとしたサツマイモを選び抜き、貯蔵することによってお湯割りにも負けないボディをもつ熟成焼酎に仕上げました。
バランスの良いまろやかな口当たりは、飲み飽きしません。
酒名は、「酒が一壺あれば人生は幸せだ」と詠んだ劉伯倫の漢詩にちなみ命名されました。
何用巖棲隠姓名 何を用ってか巖棲して姓名を隠せる
一壺春酎可忘形 一壺の春酎 形を忘る可し
伯倫若有長生術 伯倫若し長生の術有らば
直到如今酔末醒 直ちに如今酔いて未だ醒めざるに到らん
【意味】どうして山奥に住んで姓名を隠しているのか、春の濃い酎が一壺あれば自分自身を忘れることができる。
伯倫(劉伶)にもし長生の術があれば、今までずっと酔ったまま醒めずにいることだろう。
度 数:25度
原材料:さつま芋 米麹(白)