たかさごのみね
鹿児島市 東酒造
純粋な灰汁を使用し、火入れしないで醸造された鹿児島の伝統酒
●大正4年(1915年)創業の伝統蔵・東酒造は鹿児島市市街地の南より・谷山地区の小松原にあります。
住宅地のなかにある手狭な蔵というイメージでしたが先年、南さつま市金峰地区に醸造所を新設されました。
●鹿児島伝統の「地酒(灰持酒(あくもちざけ))」は製造方法は清酒に似ていますが清酒ではありません。
製造過程で「もろみ熟成」の後半に「灰木汁(樫の木の灰などの木灰汁)」を加え、酸性から弱酸性にする
ことによって保存性を高め腐敗を防ごうとした鹿児島の伝統酒です。
鹿児島では「地酒(じざけ)」と呼ばれ、郷土料理の「酒ずし」「さつま揚げ」に欠かせないものでした。
各家庭で調理酒や祝い酒として使用されていましたが、戦後灰汁持酒の製造は途絶えてしまいました。
この鹿児島伝統の味を復活させたのが東酒造の創業者・東喜内(きない)翁でした。
地道な研究と改良を重ね、東酒造は2つの銘柄の灰汁持酒「高砂の峰」「黒酒」を製造販売しています。
●「高砂の峰」は、お米だけを原料に黄麹で醸し、もろみを搾る前に保存性を高めるためにモロミに灰汁を入れる
という昔ながらの手法で造るお酒で、一度も火入れをしません。
※「高砂の峰」「黒酒」は鹿児島市にある本社醸造所でつくられています。
「灰汁汁」用の灰汁の原料となる灰は、金峰にある醸造所で木(樫の木)を燃やして
つくられているそうです
※モロミに加えられた木灰は、次の工程で完全にとりのぞかれますので、
酒の中には残りません。
◆麹米や米を多めに使う濃厚仕込みのため、醗酵後の糖化(米が溶けて糖分になること)
により甘味が強く、古酒になればなるほど赤褐色を帯びてきます。
鹿児島では藩政以前より薩摩の酒として、お正月のお屠蘇や冠婚葬祭には欠かせない
ものとして飲用されてきました。
◆また、「高砂の峰」は高級アルコール、各種アミノ酸、有機酸、タンパク質等を豊富に
バランスよく含んでいて肉を柔らかくしたり魚等の生臭さをとる働き、また香料を材料
にしみ込ませ易くし煮くずれを防止する働きがあります。
◆「本みりん」同様多くの糖類を含んでいるので、材料に上品な甘みとテリを与えるといっ
たすぐれた特性を兼ね備えています。
薩摩の地ではあるゆる家庭料理の旨味料として使われてきました。お酒とみりんの両特性
を持ち合わせたもので手軽で使いやすく美味しい料理ができると評判です。
◆火入れをしていないので、お酒やみりんと比べて麹菌がもつ「酵素」が活きています。
澱粉やタンパク質等の分解酵素(アミラーゼやプロテアーゼなど多種にわたる酵素が活性
を失っていないので「焼肉のタレ」などを作り置きしますと、熟成を促し美味しさが増し
ます。
生タレをつくり肉や魚などを漬け込みますと酵素が働き旨みが増します。
◆お米を黄麹で醸したアルコールなので、お料理の煮崩れを防ぎ生臭さを取り、味の浸透を
良くします。
度 数: 13.5度以上14.5度未満
原材料:米、米麹、もち米、醸造アルコール、木灰